日本組織培養学会

ご挨拶

代表理事就任の挨拶

このたび浅香勲前会長の後を引き継ぎ、日本組織培養学会の代表理事を拝命致しました。本学会は1956年に発足して以来、実に65年もの間活動を続けてきた大変伝統ある学会で、日本の組織培養技術の発展や普及に貢献してきました。本学会のさらなる発展のために、微力ではありますが尽力させていただきます。今後とも会員の皆様のご協力ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

私自身も培養細胞を用いて長年研究生活を送って参りました。その間、科学技術の進展について身をもって実感する機会が多々ありました。例えば、新しい技術が開発されたら、2、3年後には該当の研究の領域では、論文掲載時には普通に要求されるようになります。RNA interference法もそうでしたし、iPS細胞の作製、ゲノム編集などの技術は、あっという間に「一般的に用いられる技術」になりました。ただし、その技術をどのように使用して研究結果を積み重ねていくかは、それぞれの研究者としての技量や目的、考え方に依るものと思います。本学会が中心に据えている組織細胞培養技術は、時代ごとの新規技術を取り込みながらも、科学技術全体を推し進めるために必要な普遍的な基盤技術として存在します。正確な組織細胞培養技術を基にしたデータは、より再現性が高く、複雑な生体内での反応や組織細胞活動の情報の蓄積を可能とします。今後も多岐にわたる分野で科学技術は著しく進展すると予測されますが、日本組織培養学会はこれまでの組織細胞培養技術に関わるノウハウを会員の皆様と共有しながら、この一端を担っていきたいと思います。

 

浅香前会長から引き継いだ課題として、日本組織培養学会が現在取り組んでいるのが「学会運営体制の変革」です。法人化への移行を数年前から模索しており、本年度の総会で今後の方向性について会員の皆様にはご説明させていただき、ご了承いただきました。法人化の前段階として、運営体制につきましてもこれまでの会長を中心とした「幹事会」から、18名の理事によって構成される「理事会」による運営に変更致しました。新規委員会として、法人化推進委員会、規定検討委員会を設置し、2022年度からの法人化を目指しています。

 

一方、新型コロナ感染拡大により、2020年度、2021年度と学会活動が大きく影響を受けております。会員の皆様にとっても、普段できる研究や活動に制限が出てしまうということが多々おありかと思います。1年毎が大きな意味を持つ若手研究者や大学院生の皆さんにとっては、大事な時期に予定通りに物事が進まないことで、残念な思いをしたり焦りを感じたりすることもあると思います。長い(研究)人生では、このような予想外のどうにもならない時期というものもありますが、いつか通常生活に戻った時には力を思う存分発揮できるように、それぞれ今できることを頑張りましょう。日本組織培養学会が主催している培養講習会は、新型コロナ感染状況を考慮し現在再開の目途は立っていませんが、今後状況に改善傾向があれば、再開について前向きに検討して参ります。より効果的な講習内容にするため、コースI、コースII共に改訂が行われています。講習生の皆様の安全確保が何よりの優先事項ですので、対面実習再開が可能となるまで今暫くお待ちください。

 

最後になりますが、会員の皆様により利ある学会運営を目指したいと思っておりますので、今後とも温かいご協力ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

代表理事 藤井 万紀子

歴代会長

1982年以前は会長を置かず大会開催者がその年の世話人をされました。

故)山田 正篤 先生
1982.4-1984.3

故)佐藤 二郎 先生
1984.4-1988.3

故)黒田 行昭 先生
1988.4-1992.3

蔵本 博行 先生
1992.4-1996.3

難波 正義 先生
1996.4-2001.3

許 南浩 先生
2001.4-2005.3

岡本 哲治 先生
2005.4-2009.3

鈴木 崇彦先生
2009.4-2013.3

中村 幸夫 先生
2013.4-2017.3

浅香 勲 先生
2017.4-2021.3

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